画期的なECモールメタバース「Vircre」をPlayCanvasで実現!【前編】

アパレル業界に、PlayCanvasがもたらした大きな価値とは?【前編】

アパレル企業「アトリエギルドGOSOUTH」のメタバース参入のため、「Kinobo」がウクライナ企業とオフショア開発を進めたサービス「Vircre」。PlayCanvasの採用で、圧倒的短期間・低コストでの開発を実現しました。
事例紹介の前編である本記事では、「Vircre」の開発に関わった市川氏と堀木氏に、開発の背景やPlayCanvasを採用した決め手、PlayCanvasが提供したメリットについて伺いました。

INTERVIEWEES

市川 大輔

市川 大輔

アトリエギルドGOSOUTH 代表
株式会社 Vircre 代表取締役社長

堀木 遼

堀木 遼

株式会社 Kinobo 代表取締役CEO
株式会社 Vircre 代表取締役CEO

まず、「Vircre」サービスに関係した3社について、各社の概要と事業内容を教えてください。

市川:私はアパレル事業に20年間従事していて、10年前に独立して立ち上げたブランドが「アトリエギルドGOSOUTH」です。ファッションデザインや、セレクトショップの運営をおこなっています。

堀木:「Kinobo」は、Webサービス企画開発、Webマーケティング支援およびシステム開発を展開しています。企業理念としては、「人の可能領域を拡げる」をミッションに、「HERO」のように人を助けるメンバーやチームでありたいと活動しています。

また「Kinobo」は、システム開発で海外企業と多くの連携実績があります。特にウクライナ企業のSensorama Labとは、以前から連携してきました。今回「Vircre」の構築についても、この企業とシステム開発を進めました。

この他、「Vircre」のリリースに際し、市川と新企業「Vircre」を立ち上げました。事業内容としては、バーチャルショッププラットフォーム「Vircre」の運営をおこなっています。

「Vircre」についてどのようなサービスか教えてください。

市川:「Vircre」ではバーチャルモールでのショッピングを楽しめます。空間にはアバターがいて、自由に動き回れます。商品画像をタップすれば商品の詳細を確認でき、決済は既存の通販サイトでおこなえます。また、店員とのチャットやマイク通話も可能です。

既存の通販サイトでは店員に自由に質問できず、コミュニケーションを楽しむ要素がありませんでした。通販でもコミュニケーションを楽しめるようにしたい、というのが「Vircre」を企画した着眼点です。ユーザーは既存の通販では伝わりづらかった詳細な商品情報を受け取れますし、アバターを通じて実店舗と同様に店舗スタッフや友達とのコミュニケーションを楽しめます。通販での体験と実店舗での体験の両方を実現するサービスになっています。

「Vircre」では複数の3Dキャラクターを使ってバーチャルモールでのショッピングが楽しめます

さらに「Vircre」の特徴として、街そのものを楽しむ要素もあります。たとえば、NPC(ノンプレイヤーキャラクター)から情報を聞いて、街角のパン屋に入ると実はパン工場につながっている、または空を飛び回っているクジラに乗れるなどのゲーム要素が備わっています。友達と一緒にうろうろしながら街自体を楽しむといった、リアルな買い物と同様の体験を提供しています。

堀木:「Vircre」では、リアルにショッピングをしているかのように店員や他のユーザーとの偶然の出会いを創出しています。目指していたのは、ネットショップのメタバース版で、誰もが気軽にホームページ作成のような低価格で、自社ブランドをバーチャル空間に出店できるサービスです。また、出店だけではなく、催事場や展示場の設置、街やショップ内での広告掲載、空間内でのオリジナルアバター作成などもできます。

アバターを自由に切り替えられるなど、柔軟性の高い操作が可能

まさに次世代のショッピング体験を楽しめるメタバースといえそうですね。
「Vircre」をサービス構築するに至った、きっかけや背景を教えていただけますか?

市川:GOSOUTHの実店舗はコロナの影響で売上が激減しました。飲食業界には補償があったがアパレルにはなかった。この状況を「アパレルは、通販を頑張るべき」というメッセージだと、自分は受け止めました。ただし、ブランドによっては通販に向き不向きがあります。自社ブランドは通販で売上を回復できずにいました。そこで、実店舗のようにコミュニケーションをとりながら販売でき、かつ低価格で誰もが参加できる新しいバーチャルショップを構築することにしました。子供の頃、アニメや映画で見た未来観のバーチャルショップがまだ世の中に現れていない。それならば、自分で作ってしまおうという発想が開発の原点です。

GOSOUTHの実店舗

堀木:既存のメタバース通販では出店料が大きな障壁になっています。誰もが参入でき、メタバース全体で新たな価値を提供するという独自性を持つサービスが「Vircre」です。

「Vircre」の開発にあたって、どうしても実現したかった要件は何でしょうか?

堀木:3つあります。まず1つ目は、気軽に使える点です。メタバースに入るデバイスとしてヘッドセットがありますが、特に女性の間で普及が進んでいません。また、アプリダウンロードのCPA(顧客獲得単価)は年々高くなっているので、アプリでの売上拡大は難しいと考えました。このため、ヘッドセットやアプリが不要で、かつスマホでもPCでも見られるWebGLが条件でした。ウェブブラウザで利用できるほうがユーザーにとって利便性が高いと考えたためです。

2つ目は、出店料を低くする点です。ホームページを作成する価格以下で、極端に言えばハンドメイドの個人事業主も手軽に出店できることを目指しました。CMS(コンテンツ管理システム)機能でテンプレート化されているため、コンテンツを貼り替えるだけで誰でも出店できるサービスになっています。

最後に、メタバース内の世界観を重視しました。既存のメタバースでは雰囲気の硬さやアバター同士の交流が少なく、すぐに馴染めない環境が多く見受けられます。これに対し、「Vircre」はアバター同士が自由に交流できるコミュニケーションのしやすさや、ゲームのように楽しめる世界観を実現しています。この面では特にデザインリーダーである市川が尽力しました。

市川:「Vircre」ではワクワクする世界観を目指しました。たとえば、アバターは空間内を自由に走り回ったりジャンプもできます。メタバースでゲームのような使用感や楽しさを提供することがコンセプトになっています。NPCとの交流も重視しました。

「Vircre」に入ると街並みの可愛らしさやアバターの自由な動きに心を惹かれますね。
開発ツールとしてPlayCanvasを採用いただいた経緯や、採用の決め手を教えていただけますか?

堀木:さきほどの3つの要件を満たすため、3ヶ月で14社程の開発ツールを比較検討しましたが、アプリ化が必須で気軽に使用できない、オーバースペックで出店料がかさんでしまう、などの問題点がありました。これらのツールを使用せず、一から開発することも検討しましたが、やはりコストやリソースが膨大になってしまう懸念がありました。

この時に、当初開発を担当していたインドのパートナー企業から紹介されたのがPlayCanvasです。「Vircre」のすべての要件を満たし、かつ洗練されたビジュアルでワクワクする世界観を実現できるツールだったので採用を決めました。

「Vircre」内ではNPCと会話したり、動画を見ながら3D空間の散策を楽しめます

PlayCanvasをベースに開発して、どのようなメリットがあったでしょうか?

堀木:まず、手厚いサポート体制があります。現状では、PlayCanvasを利用しているエンジニアの人口が少なく、疑問点をウェブで検索してもヒットしない場合が多くあります。こういった場合でも、PlayCanvas運営事務局に問い合わせれば、コンサルティング並みに丁寧な回答が得られるのは大きな安心感でした。

次に、直感的に使用できるGUIです。市川のようにエンジニア出身でなく、デザイン主眼の視点からでも非常に使いやすく、すぐに習得できました。

また、海外企業と連携した開発プロジェクトのため、拠点間でコラボレーションしやすい点も大きなメリットでした。

PlayCanvasが、「Vircre」開発に非常に役立った点を把握できました。
記事後編では、開発プロジェクトの詳細などを伺っていきます。

画期的なECモールメタバース「Vircre」をPlayCanvasで実現!【後編】へ

<製品のご紹介>

ECモールメタバース「Vircre」サービス紹介サイト
https://lp.vircre.com/

ECモールメタバース「Vircre」
https://vircre.com/

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