ビーライズがPlayCanvasでメタバースを構築!

地方創生がテーマの小中学生向けメタバースで、予想を上回る反響を実現したPlayCanvasの機能とは?

メタバースをはじめ多くのデジタルソリューションを提供するビーライズが、山口県主催の県内企業PR用メタバース「やまぐちメタワールド~デジタル企業図鑑~(以下、やまぐちメタワールド)」にPlayCanvasを採用。小中学生が各企業について理解を深める企業エリアのほか、ゲーム的な要素を楽しめるアドベンチャーエリアもあり、ユーザーのリピート率を高める仕組みで多くの集客を実現しています。
本記事ではビーライズの取締役COOである石原氏、「やまぐちメタワールド」のプロジェクトマネージャーの太田氏、広報担当の松岡氏にPlayCanvas導入の決め手、クライアントからの評価、クライアントワークの効率化に役立ったPlayCanvasの機能などについて伺いました。

INTERVIEWEES

石原 裕輝

石原 裕輝

株式会社ビーライズ
取締役COO

太田 一希

太田 一希

株式会社ビーライズ
企画開発部 XRコンサルティングチーム チーフディレクター

松岡 陽菜

松岡 陽菜

株式会社ビーライズ
企画開発部 マーケティングチーム ディレクター

まず、御社の会社概要および事業内容をご紹介いただけますでしょうか?

松岡:弊社は3DCG技術を活用したメタバース・XRシステム、スマホアプリやデジタルコンテンツ、3DCGデザインや360°映像等、様々なデジタルソリューションを提供しております。サービス企画のコンサルティングから、3DCG制作、システム開発まで、すべて自社にてワンストップでおこなっており、伴走型のプロダクト開発・ソリューション提供が可能です。

「やまぐちメタワールド」を開発した背景やきっかけについて教えていただけますか?

太田:山口県は県内企業の魅力を発信する施策をこれまでにも数多くおこなってきました。本プロジェクトは、小中学生をメインターゲットにメタバースを活用して県内企業の魅力を発信する取り組みです。具体的にはプロポーザル形式の公募があり、弊社を含め5社程度が応募しました。弊社は差別化ポイントとして山口県のオリジナルメタバースを一から作り上げるというアプローチを提案し、この公募の結果として「やまぐちメタワールド」の開発に至りました。

「やまぐちメタワールド」を活用した山口県内小学校での授業風景

やまぐちメタワールドでどうしても実現が必要だった要件は何でしょうか?

太田:パソコン・スマホ・タブレット端末からブラウザで簡単にアクセスできるほか、学校支給のタブレットでの接続やスムーズな操作が求められていました。さらに、このタブレットにはアプリをインストールできないためブラウザでの安定した動作が必須でした。

また、小中学生に県内企業について楽しみながら知ってもらうことが最大の目的のため、ゲーム的な要素が必要でした。

ゲーム的な要素の開発については、御社ですでに知見をお持ちでしたか?

太田:これまで担当したメタバース開発案件でも、交流目的や情報を楽しく伝えるためのゲーム的な要素の取り込みは積極的におこなってきました。そのため、今回もそうした経験を生かして開発を進められました。

「やまぐちメタワールド」では、企業ブースを訪れるたびにレベルアップし様々な着せ替えアイテムを入手できたり、ジャンプ力が2倍になる羽をもらえたりします。こういった楽しめる仕掛けが子供たちにとって魅力的なものになったと思います。

上記の要件を実現するうえで、PlayCanvasはどのように役立ちましたか?

太田:スマートフォンなどのモバイルウェブブラウザにも対応した軽量なゲームエンジンなので、山口県内を中心に多くの小中学生にご利用いただけました。また、環境構築が不要でウェブ上ですぐにエディターが利用できる点も開発に役立ちました。

やまぐちメタワールド

PlayCanvasをご存知になったきっかけを教えてください。

石原:ウェブ上でPlayCanvas運営事務局が提供している様々なサンプルコンテンツを参照したのがきっかけです。無償アカウントでのテスト段階から有償プランへの移行を経て、本格的に検証を進めました。

PlayCanvasを導入いただいた経緯や、導入の決め手を教えてください。

石原:以前からUnityやUnreal Engineなどのゲームエンジンを他案件でも利用していましたが、それらと比較してWebGL対応の観点でPlayCanvasが最適と判断しました。また、PlayCanvasエンジンが軽量のため求められている環境での動作も安定していたのが決め手となりました。

競合する開発ツールとの比較は具体的にどのようにおこないましたか?またどのくらいの期間を比較検討に費やしましたか?

太田:シンプルなコンテンツでの起動時間や、重たいコンテンツを読み込んだ際のパフォーマンスを比較しました。比較を含めた導入検討期間は約3〜4か月間で、その後PlayCanvasの本格的な導入に踏み切りました。

「やまぐちメタワールド」では複数のワールドが展開されるなど、非常に高いクオリティのメタバースという印象を受けています。開発にあたり特に注力した機能や、技術的なこだわりについて教えてください。

太田:ユーザーに継続的にご利用いただけるよう、各ワールドを回ることでレベルが上がったり、新しいアバターやミッションを獲得できる機能に特に注力しました。低学年の子供たちにも楽しんでもらえるよう、ゲーム的な要素やストーリー性を重視して設計しました。

また、平日は学校の授業での利用が多かったので、週末は特別感を演出して家族で楽しんでもらえるよう、特殊な衣装のアバターが選べるスペシャルモードを実装する等の機能も組み込みました。

ゲーム的な要素やストーリー性の設計については御社内ですべて対応されましたか?

太田:企画から開発まで全て社内でおこないました。子供たちが操作しやすく、興味を持って学べるようUIも含めて慎重に設計しました。実際に小学生の子供がいる経験を活かし、メタバースを利用する子供たちの気持ちになって考えられたのが大きかったかと思います。

PlayCanvasでメタバースの構築が容易になった点や、特に役立った機能はありますか?

石原:弊社では、これまでの開発案件でのUnityやHTMLの知識を活かして、WebGLやアプリケーションでのメタバース構築に対応しています。「やまぐちメタワールド」ではPlayCanvasを活用しているため、音声サーバーなどの外部サービスや他のプラットフォームとの統合もスムーズにおこなうことができ、既存の社内ナレッジを活用しやすかったです。

PlayCanvasでのメタバースの制作に関して、まだ事例やサンプルはあまり多くありません。マルチプレイの実装などに関しては他のプロジェクトで作成したナレッジを利用されましたか?

太田:マルチプレイの実装には、これまでにも利用実績があるPhoton*を使用しています。Photonによる安定したマルチプレイ環境の実現が、今回の「やまぐちメタワールド」にも役立ちました。

*PhotonはGMOグローバルサイン・ホールディングス(株)が提供する、リアルタイムマルチプレイヤーゲームやアプリケーションを構築するためのネットワークエンジンです。Photon製品ページ

プロジェクトの開発速度や品質向上にPlayCanvasが与えた影響があれば教えてください。

太田:エディターからすぐに実行できる点や、変更が即時に反映されるホットリロード機能などは確認などの反復作業の効率化に役立ちました。

ユーザビリティやデザインの面でPlayCanvasはプロジェクトにどのように影響しましたか?

太田:PlayCanvasの強みの1つは、HTMLのページとの連携が容易な点です。必要に応じてHTMLの要素と組み合わせることで、画像素材に頼らずCSSなどでデザインの反映をおこなうことができました。

ウェブへの組み込みは容易でしたか?

石原:ウェブの導入に関しては、Unityや他のWebGLツールと比較してPlayCanvasではスムーズに進みました。弊社では他案件でウェブへの組み込みの実装経験もあり、特に障壁はありませんでした。

クライアントとのコミュニケーションやフィードバックの効率化にPlayCanvasは役立ちましたか?

石原:このプロジェクトは山口県を含む複数の共同事業体での案件だったため、その総意を得るために全員で進捗状況に応じてレビューをおこなう必要がありました。PlayCanvasではブラウザ経由ですぐにプロジェクトの現状を確認できるおかげで、特定の確認用端末の準備せずに済んだ点、また多様な環境で同時にプロジェクトを確認できた点が開発の効率化に非常に有効でした。

太田:メタバースプロジェクトに関わる人数が多かったため、すぐにログインして確認できるウェブベースのプラットフォームであるPlayCanvasは作業の効率化に大きく貢献しました。アプリベースのプラットフォームと比較してもブラウザ上で即時にデータ更新がおこなえるため、デバッグ期間の短縮など作業の効率化が実現しました。

PlayCanvasによってフィードバックの取得や反映が効率化されたとのことですが、このように各フェーズでフィードバックを取り入れてブラッシュアップを重ねるプロセスは、他のプロジェクトにも適用可能でしょうか?

石原:はい、このプロセスはメタバースだけでなく多くのウェブベースプロジェクトに適用できると思います。特にPlayCanvasを使うことで、開発チームとクライアントがスムーズにコミュニケーションを取りながら、迅速にプロジェクトを進めることができます。

PlayCanvasによる開発で、クライアントの満足度向上につながった例や成果について教えていただけますか?

太田:子供たちが興味を持ちやすいコンテンツにするため、ショート動画を活用したり企業紹介動画ではキャラクターを登場させたりと工夫を凝らしました。PlayCanvasの機能によって、これらの動画コンテンツをメタバースにスムーズに組み込めました。

石原:一般的に、メタバースやXRコンテンツの開発では実際にどのような体験が提供されるのかクライアントは開発段階では想定しにくいといった状況が発生します。PlayCanvasではブラウザで現状をすぐに確認できるため、開発の初期段階から必要なUI/UXや追加機能についてフィードバックを受けやすかったです。そして迅速に修正を反映できるので、プロジェクトをスムーズに進行できたのは大きなメリットでした。

PlayCanvasを利用したことでクライアントからの追加要件や変更にどのように対応できましたか?また、実際に追加要件や急な仕様変更などはあったでしょうか?

太田:子供たちのコミュニケーションが活性化していく一方、メタワールド内で不適切な発言が出ないように一部禁止ワードの設定を追加する必要がありました。このような修正もPlayCanvasでは迅速に対応できました。

PlayCanvasの習得やPlayCanvasでの開発について、御社のご経験にもとづいて印象を教えていただけますか?

太田:PlayCanvasのエディターの習得は特に時間がかからず、直感的に操作できました。Visual Studio Codeのような外部エディターとの親和性もあり、基本機能は十分揃っているため開発への利用に問題ありませんでした。

やまぐちメタワールドの開発プロジェクトについて、人数や期間について教えてください。

太田:フロントエンドエンジニア1名、サポートエンジニア1名、バックエンドエンジニア1〜2名、空間やアバター制作を担当するCGデザイナー2〜3名、そしてUIデザイナー1名で進行しました。各担当が密に連携しながら約4カ月で開発からデバッグ、リリースまでを完了しました。

やまぐちメタワールドについて、山口県・出展企業・ユーザーの方それぞれの反応を教えていただけますか?

松岡:山口県からはCGのビジュアルの良さや使いやすさの点のほか、子供たちが繰り返し高い頻度で利用している点を高く評価いただきました。

出展企業には今後アンケート調査などをおこないますが、一部企業からは「斬新な取り組みで評判が良い」というコメントをいただきました。

多くの小中学生に利用いただいている点からも、利用するユーザー側の評判も良いと思います。山口県のとある学校では、授業の一環としてやまぐちメタワールドを体験していただきました。この授業には山口県・メディア各社もご参加いただき、とても好評でした。

PlayCanvasの導入効果について、具体的な数値などありましたら教えていただけますか?やまぐちメタワールドの集客などについても実績数値を教えてください。

太田:集客施策としては、山口県内の小・中学校へのチラシ配布が特に効果が高かったです。やまぐちJOBフェスタというオフラインイベントにブース出展した際には、チラシを見た多くの児童が「やまぐちメタワールド」を体験しにきてくれました。サービス開始の2023年10月からこれまでに来場者数7,702人、入場回数70,840回(2024年2月28日現在)と非常に良い反応を得ています。特に子供同士のコミュニティ形成に成功した点が好評でした。

やまぐちJOBフェスタ出展時の様子

やまぐちメタワールドのリリースによって、御社にもたらされたメリットがあれば教えてください。

太田:「やまぐちメタワールド」の開発は弊社の認知度向上や技術力の洗練につながりました。子供向けのコンテンツ開発という新たな領域にチャレンジすることでヒットを記録し、新たな知見を得ることができました。 まず楽しめるコンテンツでユーザーの興味を引き、その後に具体的な情報提供につなげるといった作りに注力した点で、この手法は今後のBtoB案件にも応用できると感じています。

石原:今回のプロジェクトですぐれた反響を得たことは、弊社にとって大きなメリットになったと思います。他県からもメタバースをどのように構築するのか、またメタバースを地方創生にどうやって活用できるのか、といったお問い合わせを多く受けていますので、この分野での関心やニーズは大きく高まっています。こういったニーズに対して、弊社が「やまぐちメタワールド」で得られた知見を十分に活用しながらより良いサービスをご提供していけたらと考えています。

御社でのPlayCanvasご利用の予定や展望があれば教えていただけますか?

松岡:現状は主にメタバース開発でPlayCanvasを利用していますが、今後はARコンテンツ展開での利用も検討しています。弊社ではこれまで観光や業務支援向けのARコンテンツの開発をおこなっており、今後もこの分野へのニーズが高まると見込んでいます。

石原:現状、弊社では観光分野でのARアプリケーションの開発が多いのですが、今後はより気軽にユーザーの方にご利用いただくといった観点からWebXRでの開発を進めていく方針です。その中でPlayCanvasを活用していければと考えています。

最後に、PlayCanvasを他の方におすすめしますか?また、その場合どのような点が特におすすめでしょうか?クライアントからの受託開発で特におすすめしたいPlayCanavsの特徴や機能があれば教えてください。

太田:軽快に動作するため、PlayCanvasは動作要件にモバイルブラウザが含まれる場合に特に有用だと思います。

本日は貴重なお話をお聞かせいただき、誠にありがとうございました。

株式会社ビーライズ

<会社概要>

株式会社ビーライズ

所在地:
<広島本社> 〒732-0822 広島市南区松原町2-62 広島JPビルディング8F
<東京支社> 〒101-0032 東京都千代田区岩本町3丁目3-5 秋葉原SHビル9F

事業内容:
・メタバースの企画・開発
・VR/AR/MRシステムの企画・開発
・WEB/スマホアプリの企画・開発
・インタラクティブコンテンツの企画・開発
・CG/VR映像コンテンツ制作

https://berise.co.jp/

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