SUPERWORKS Inc. が3DCG建築模型作成サービス「ネットモケイ®」にPlayCanvasを導入!
建築業界から見た、WebGL/PlayCanvasの強みとは?
建設や不動産業界を対象としたソフトウェアを開発提供する「SUPERWORKS Inc.」。同社は、2018年に住宅の3DCGプレゼンテーションサービス「ネットモケイ®」にPlayCanvasを採用しました。
今回は「ネットモケイ®」の開発に関わったSUPERWORKS Inc. 代表の岩城氏と平田氏に、PlayCanvas導入時のエピソードや魅力、主力商品「ネットモケイ®」の可能性についてお伺いしました。
INTERVIEWEES
岩城 裕介
株式会社スーパーワークス
代表取締役 一級建築士
平田 剛士
株式会社スーパーワークス
まず、「ネットモケイ®」について教えてください。
岩城 : 「ネットモケイ®」は、住宅3DCGプレゼンテーションサービスで、弊社の主力サービスです。もともと私は建築士として設計事務所に勤めていたのですが、お客さまと打ち合わせで図面を使用することが多くありました。図面での打ち合わせだと、お客さまがなかなか理解できないという場面があったんです。変わった設計などを希望されるお客さまだと、図面では表現しきれなくて認識合わせが難しくなってしまうという問題点がありました。
そしてその課題は自社だけでなく建設業界全体の課題であり、3DCADもまだまだ普及しているとは言えない現状を解決するために「ネットモケイ®」を作りました。ハウスメーカーや工務店がお客さまの要望に沿って作成した図面を、弊社が3Dモデル化し、3Dモデルとしてパソコンやスマートフォン上で表示することで、平面ではつかみきれなかったイメージを再現してお客さまにより理解いただけるようなプロダクトとなっています。
PlayCanvasを採用するに至った経緯を教えてください。
「ネットモケイ®」自体はPlayCanvas導入以前から提供していたサービスなのですが、前のシステムは動作が重く、大きな物件になると落ちてしまうという問題点がありました。また、スマートフォンでは動作せず、全体を3Dで表示することが難しかったのです。そこで何か解決方法が見つからないかと調べていたとき、PlayCanvasの存在を知りました。
当時すでに導入を検討していたソフトウェアとPlayCanvasの比較記事を読んで、そんなに動作が違うのかと驚きました。そこで、すぐオフィスにいた平田と室山に、とにかく一度使ってみないかと声をかけたのが始まりです。まずはフリープランで試してみたところ、最低限必要だと思っていた3Dモデルが表示できたので、契約まではあっという間でした。
PlayCanvasを使ってみて良かったところはどんな点でしょうか?
平田 : まず絵がきれいで驚きました。それは1年使った今でも感じています。凝ろうと思えばバンプマップをかけるといったこともできるのですが、それでも動作スピードが変わらないところがいいですね。以前CGパースを描いたときはバンプマッピングなどCGでレンダリングを出していましたが、PlayCanvasでは反映されたものが動くので感動しました。
岩城 : 今までと比べて、大規模で複雑な3Dオブジェクトを動かしても非常に軽い点に満足しています。そして何より画像の美しさが本当に素晴らしい。建築は、お客さまにいかにリアルなイメージを持ってもらえるかが重要です。「ネットモケイ®」はこれまで違うシステムを使って建築のビジュアライズサービスを提供していたのですが、お客さまからは「絵をもっときれいにできないのか」といった声がありました。それがPlayCanvasだと、動作は軽いままスマートフォン上でもきれいな画像を見られます。そこが大きな強みではないでしょうか。
反対に、気になったところや大変だったところはありますか?
平田 : 1年使ってすでにいろいろなことが「なんとなくできてしまう」状況にはなっているのですが、それまでかなり時間がかかりました。PlayCanvas以前に、JavaScriptに慣れる方が大変だったかもしれません。
「ネットモケイ®」は住宅の階ごとの表示・非表示が切りかえられる機能が必須です。最初のスクリプトを作るのにも時間がかかり、当初は物件によって1回ずつ手作業で書き換えていました。現在はモデリングソフトで階毎に作成したものを読み込んでいます。
モデリングがすんだ後は機械的な作業になるので、他にもフローにできる部分はまだまだあると感じています。現状は試行錯誤しながら独自のやり方で進めていますが、参考にできる情報がもっとあるといいなと思いますね。
今回開発された「ネットモケイ®」は御社でどのような位置づけなのでしょうか?
岩城 : 「ネットモケイ®」はモデリングサービスと表現していますが、実際は「工務店の問題解決」の根幹をなすサービスです。家を建てるすべてのお客さまが3D化された図面を見られることが理想ですが、3Dでのビジュアライズをお客さまに提供できるのは、まだ大手メーカーや一部の工務店に限られています。中小規模のメーカーや工務店では平面の図面だけを見せ、具体的なイメージが持てないまま工事が始まってしまうことも少なくないのが現状。3Dの図面を提供することが理想だとわかってはいても、3D化にかかる時間やコストがネックになって、実施に踏み切れない企業が多いのです。
それに対して「ネットモケイ®」は、中小規模の工務店でも多額の費用をかけることなく、エンドユーザーまで「満足」を届けられるサービスです。工務店が自社で高額のソフトを購入し、時間をかけて操作を習得したり、お客さまにアプリをダウンロードさせたりすることなく、工務店とお客さまとのイメージのミスマッチを減らすことができます。お客さまとメーカー・工務店、双方にとってメリットの大きなサービスだと自負しています。
また今後は、PlayCanvasの持ち味である3D画像の美しさや動作の速さなどを生かし、リフォームを想定した一室限定のサービスや、店頭にある家具を自宅に設置したときのイメージ画像など、より細やかなフェーズでエンドユーザーにアクセスしていきたいと思っています。
特にリフォームのモデリングについては現在、早急にサービス化を進めています。中古物件のビフォーアフターをビジュアライズし、人が立ったときの目線で部屋を見渡せるような3D画像は今後需要が高まると思いますし、ハウスメーカーや工務店だけでなく、不動産業界にもサービスを拡大できる可能性を感じています。
今後PlayCanvasがこうなって欲しい、こうなったらいい等の要望があれば教えてください。
平田 : PlayCanvas導入前に使っていたエンジンでは、SketchUpのデータを入れた後、フロアや間取りなどの細かな設定を入れると、パブリッシュからURLの発行までWeb上で完結していました。PlayCanvasでは以前と比べてまだまだ手間がかかります。この流れが以前のようにWeb上で進められるといいなと思いますね。PlayCanvasのエディター拡張機能みたいなものがリリースされれば、効率化を進めていきたいと思います。
岩城 : 今は岡山県をメインにサービスを展開していますが、今後全国を視野にサービスを広げていくなかで、さまざまな設定をよりスムーズにフロー化する必要が出てきます。建築業界での導入は弊社が初めてだと聞いていますが、PlayCanvasには今後、ゲーム業界以外でも、業務をサポートする製品として進化してほしいですね。